Lipid rafts(脂質ラフト)は存在しないかも知れない?

という、「あらー!」な話をScience Podcastで聞いた。Lipid raftsのコンセプトは数十年も経っている、言わばサイエンスの「常識」のような物であるが、これまで誰もその存在をはっきりと証明した人はいないらしい。Lipid raftsを扱った論文は3000以上にのぼる。。。。

ずるっとこけそうになるわ、ほんと。

まあ「既成概念、常識だと思っていることが実は違う」、っていうことを証明するのがサイエンスだから、まあいいと言えばいいんだけれど。

もっと知りたい人は、これをどうぞ。
Do Lipid Rafts Exist?
私は読んでない。

さて研究者は経験を積むと、いろんな概念はいともあっさりつぶれることを知っているので、あんまりいろんな事を100%信じたりしないようになる。自分で実験して、「あー論文のこのデータ、やっぱり再現できないじゃん」ということなんてザラであるからである。これをphDコースの学生が経験から学んでいくのを見るのは結構面白い。

phDコース入りたてほやほやの、やる気まんまんの学生は、読んだ論文全てを信じる。が、論文を読み進めて行くうちに、ほとんど全ての研究には相反する意見があることに気づく。アメリカの偉いところは、学生二人にあるトピックを発表させ、一人の学生はある観点から、もう一人の学生は全く逆の観点から議論させるところであるが。あれ面白いから、日本でもやったらいいのに。
phDコースも中盤から終わりにかけると、次第に「発表された論文は全て本当じゃないかも知れない」と気づき始める。発表された論文のデータでも、自分でやったら再現できないとか、そういうことがじゃんじゃん出てくるからである。しまいには、「もう発表された論文なんか、信じない!!!」と言いに来たりする(笑)。

「おお、それに気づいたか。おめでとう。またphDに一歩近づいたね」と意味不明ななぐさめ(?)をするのだが。

誤解の無いように書いておくが、発表された論文がウソを発表したわけではない。LPSが試薬にコンタミしていたとか、微妙に細胞の培養条件が違うとか、すこーし設定条件が違うとか、そういう、ちょっとしたことで再現できなかったりするのだ。(LPSの試薬のコンタミは自然免疫をやっている者にとって天敵である)。

今日も「あの論文の実験と一緒のことやったけど、再現できなかったー!」と学生が言いに来たので、「Lipid rafts知ってる? ひょっとしたら存在しないかもしれないってー。」って言ったら、なんか非常に受けていた。

発表された論文のみならず、自分のデータまで信じられなくなる学生がたまにいたりするが、その場合は結構要注意だと思う。。。。。

今日の教訓 それにしても、Lipid rafts本当に存在しないのー???

過去のブログ
Computer security: Is this the start of cyberwarfare? (コンピューターセキュリティ サイバー戦争のはじまり?)

Comments

Anonymous said…
リガンドによりオンデマンドに安定ラフトが形成されるモデルで説明できるようになった、とのことです。
http://news.mynavi.jp/news/2012/07/23/058/index.html

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