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藤原正彦の「国家の品格」-2

この前私はこの本を読んで「面白い」と紹介していたが、なんと反対する人を発見した。 おかしい、右翼も左翼も大絶賛の本を気に食わない人がいる。一体何者だ。 しばらく考えていたが、はたと理由がわかった。 彼はおそらく「商」を目指している人で、藤原正彦は「士」を目指している人だ。 相容れるわけがない! 本の中で著者は士農工商をうんちくしていた。 彼は大学の教授である。大学の教授というのは、いわばホリエモンみたいな人に比べれば、薄給である。 いわば「武士は食わねど高楊枝」である。 もちろんお金を持っている「商」出身の人のことは気に食わない。 お金がない分教養を見につけて、対抗しようとする。 おそらくホリエモンがターゲットに見られる部分が結構あった。かれがタイムリーに失墜してしまったので、「ほら見ろ」と思っているだろう。私はホリエモン はあんなことをしなくても十分やっていけたと思うんだが、それはやっぱりその辺の感覚が欠けていたんだろうと思う。 作者が小学生に対して株式投資をさせることについてだが、アメリカは貧乏人は貧乏人のまま終わってしまう恐ろしい国である。文化とかそういう以前の問題 で、生活の糧を自分で稼がなければいけない。普通に働いていても何も残らないだろう。 しかし、世界最大の株式市場が存在し、500ドルから株式口座を開ける国だ。 自分で大学教育費を稼ぎ出し、チャンスを物にするのはいいのではないかと思う。 バスケットが出来る人、野球が出来る人、コンピューターが出来る人というのに混じって株式投資が出来る人というのがいてもいいのではないか? でも小学生は早すぎか。 それに、「士」の人も成功するとお金が欲しいし、「商」で成功した人はその後大抵「成金」と言われるのが嫌で「文化的なもの」ものが欲しくなるのではない かと思う。 ちなみにアメリカのポスドクの身分には「百姓は、生かさず殺さず」という表現がぴったりだ。 日本との協定が無かったらあやうく「水のみ百姓」になるところだ。 百姓から抜け出した後、「士」に進むか、ビジネスの「商」に進むかは本人の希望しだいだと思う。 今日の教訓 何事もバランス

藤原正彦の「国家の品格」読みました。

親が藤原正彦の「国家の品格」を送ってきた。 頼んでもないのに、わざわざ高い郵送料を払ってアメリカまで送ってくるっていうのは、まさしく「読め!」以外の何ものでもない。 しかも、しばらく放っておいたら電話をかけてきて、メールを送ってきて、「読んだ?読んだ?」と聴いてくる。「ちゃんと読んでね!」 それで昨日の夜0時からベッドの上で読み始めたら、止まらなくなり読みきってしまった。 しかも、読んだ後も本の影響で興奮しているので、寝たのは夜の2時。おかげで朝は起きるのが大変だった。 この本、「半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷」だという著者の奥さんの言うとおりである。 だが、言っていることには一理ある。 もう、蛍光ペンで線を引きたくなるぐらい的を得ているのである。多少の大風呂敷ではあるが。 親が言うには、右翼からも左翼からも「よくぞ言ってくれた」という手紙が著者に来ているらしい。 さすが数学者。しかも文学の造詣も深い。現在ベストセラーである。 左翼からも右翼からも手紙がくるのはなぜかというと、「いろいろやってきたけど、なんか違うぞ」というもやもやとしたものの原因がわかるからである。 日本、アメリカ、イギリスという3つの国を知った著者は、理由をはっきり言ってくれる。 私も知っている。日本からドイツへ、アメリカへ来てしまったので。 「みなさーん! アメリカにだまされてますよーーー!」 ああ、だまされてアメリカに来てしまった。 アメリカに来た理由は英語だったのだが、イギリスにしておけばよかった。 ドイツに帰りたい。 英語が出来ないし、研究が一流だから、アメリカに来た。日本から見たアメリカは全て一流の国に見える。 しかし、外から見たアメリカと中から見たアメリカは全然ちがう。 この国の生活の質、サービスその他最悪である。 一般人をみれば、スペースシャトルがなぜ飛ぶことができるのか、非常に疑問だ。 去年日本の大学の教授に挨拶に行ったとき「なんなんですか、あの国はーーーーー!!!!」と言ってしまった。先生は同意していた。同意するぐらいなら、留学する前に言って欲しかった。 本にあるとおり、中身を養うことは大切である。 英語は海外に数年いれば、ある程度できるようになる。 そして日本人が海外に行くとしたら、出稼ぎではないので、付

クラシックコンサート後の観客の反応

クラシックコンサートに行ってきた。ボストン・シンフォニー・オーケストラである。 初めて聴いたマーラーの感想はさておき、面白いことに気づいた。 曲が終わった後の観客の行動である。 ボストン・シンフォニー・オーケストラでは観客は、すぐに拍手をせず、数秒間があった後、おもむろに拍手が始まり、ブラボーと言い出し、だらだらと立ちだ す。かといってすぐ帰るわけではない。 スタンディング・オベーション(演奏に敬意を払って観客が立つこと・単語があってるかどうかは不明)のつもりらしい。 大阪シンフォニーホールや、京都で聞いたときは日本人は普通は拍手のみ。アンコールを要求するときもあるけれど。 ブラボーという人は時々いる。 ただし拍手はすぐに始まる。観客が立ちだすことはあまりなかったように思う。 ミュンヘンで聴いた演奏後のドイツ人の反応はもっとおもしろい。 拍手はすぐ始まる。いい演奏の時はブラボーと言う。すごくいい演奏の時は皆が、ガーっと立ちだす。 本物のスタンディング・オベーションである。だいたい興奮して立ち上がるっていうのが本当の意味でしょう??? 拍手にもいろいろある。 指揮者が各パートをそれぞれ紹介したりするのだが、いいときは拍手が大きくなり、悪いときは普通。 オペラの時も同様で、一人あるいは数名ずつ、舞台の端からでてきたら、いい人の時は拍手が大きくなる。 観客が聴く耳を持っているのである。 とんでもなかったのは、モーツアルトの魔笛を聴きに行ったときだ。 オペラ歌手が全部最後の挨拶に出てきた後、指揮者が出てきた。 すると観客が「ブーーーーー」と言い出した。 どうきいてもブーイングである。 「ああ、やっぱり、曲と歌と合ってなかったもんな。。。にしてもブーイングとは恐ろしい」と思いつつ、頭の中で有名な夜の女王の歌がぐるぐるしているまま 家に帰ったのであった。 今日の教訓 聴く耳持つこと。(難しいか)

実験のお国柄

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私の実験は濃度を変化させるものが多い。これをタイトレーション実験という。 日本にいるときはあまりしなかったが、ドイツ、アメリカでは始めてする実験では必ずタイトレーション実験をすることからはじめる。 何を細胞に加えるにしても、十分でなかったら効果がでないし、入れすぎると細胞によくない。 さて、このタイトレーション実験、実はお国柄が出るのだ。 ドイツの実験では、2倍希釈をしていた。例えば、 100 50 25 12.5 6.25 3.125 1.5625 0 という具合になる。試薬を作ったりするときは結構いい加減だが、こういう実験の時に「徹底的に」網羅するのは、さすがドイツ人という感じである。 しかしアメリカの場合は、違う方法を取る。私のボスはHalf logと言っている。 100 30 10 3 1 0 他にはLog 100 10 1 0 というものもある。 Half logの威力がどれぐらいすごいかは、実験をするとすぐわかる。 必ず欲しい条件が手に入るのである。 2倍希釈の場合は、100から1まで網羅するのに、7個の条件が必要だ。しかし、half logの場合は5個。これは必然的に試薬、その他の物の節約になる。 Logではもっと節約するが、最適条件が50の時にヒットする確率は非常に低い。 2倍希釈では濃度が50の時の値は得られるが、12.5以下のデータは全くの無駄ということになる。 Half logでは30で近い値が得られる。 もっとキチンと調べたいときには、30から100の間で2倍希釈を取ることができる。 また逆にもっと幅広く調べたい時はLogで調べればいい。 アメリカ人は、ざっと幅広く、なおかつ細かく取るのである。 問題は濃度計算だ。 2倍希釈、10倍希釈の試薬を作るのは非常に簡単だ。 Half logなんて一体どうやってそんな濃度計算をするのだろうと思っていたら、私のボスはテンプレートをくれた。 100ul作るときはこう。200ul作るときはこう、という風に。 計算がさっぱりわからなかったので、半年ぐらい放っておいたが、使用する必要性が出てきたので、最近1時間ばかりかけて、計算してみた。 結構簡単にテンプレートは作れた。私のボスはもっとややこしい計算をしていたことが

アメリカのねずみ

うちのフランス人が私のところに来て言った。 「数ヶ月前に、フェンウェイにはねずみがいるって言っていたよね?」 「そうだよ。私の友人の部屋にはねずみが出てたよ」 「うちにも出たんだよー!ガスレンジの上を走って行ったんだよ!」 さっそく友人お勧めの「ねずみ糊」を買うようにすすめたが、どうもフランス人は別のものを買ったようである。 彼の言うところによると、罠の真ん中に食べ物をのせて、ねずみが食べると罠にかかるようになっているらしい。 罠にチーズ(ねずみにはもちろんチーズだ)をのせたところ、さっそく一匹捕まったらしい。 しかし大変なのはその後であった。 チーズだけ無くなるらしい。 今日も「朝起きると。。。」としゃべりだすので、「ねずみがいたの?」とすかさず訊くと、「チーズだけ無くなってるんだ!ねずみはいないんだ!」と言う。 私が「そうだよねー。ロングウッドに近いから、ハーバード大学医学部の超優秀なマウスだね。だから捕まらないんだよねーーーー」と言うと、アメリカ人がすかさず、「いや、メカに強いからマサチューセッツ工科大学(MIT)のマウスに違いないよ」と言う。 フランス人「え、でもMITはケンブリッジ市にあるんだよね(川の向こう)」 アメリカ人「何言ってるんだ。MITのマウスだから、もちろんバスに乗って来るんだよ」 と、冗談がきつい。 フランス人は「フランスのねずみよりも賢い」と唸っていた。 今日の教訓 アメリカのねずみに気をつけましょう。