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Atlas Ventureによるバイオテック業界の動向 2023年版

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毎年年末にAtlas VentureがYoutubeにレビューを載せている。 現在バイオテックにいるので、動向は把握しておかないといけない。現在の状況、今後の動向など全体像がよくわかるので、おすすめである。  Youtubeをみた後の私の take-home messages(日本語不明、「教訓」かしら?)。。。 1. 免疫と炎症分野は今後も重点分野である (6:05).  免疫好きな私にとってはラッキーな話である。 2.  バイオテック業界の23.7%の人が2023に仕事を変えた (40:50) そのうちの半分は、転職など自発的に仕事を変えた人達である。 残りの半分はリストラなど。アメリカってリストラもすごいけど、転職もすごい!  私の4年間の会社勤めのうちで上司が転職してとかなんとかで、4人も代わったことからもよくわかる。 3. C-Suite は不足しているらしい (41:50) C-SuiteというのはCEO, CFO, CMO, CTOというタイトルの人たちである。要するに会社のトップ。経験の豊富な人はいつでも需要が高いということか。 4. ラボスペースなど、バイオテックのスペースは数年前に比べて余裕がある。 (42:23) Cambridgeside Galleria(ケンブリッジにあるショッピングモール)とか3階の店を閉じてオフィスにして、そしたらコロナでオフィスのスペースが要らなくなって、今や バイオテック用のラボスペース 。現在バイオテックは不景気だが。。。  きょうの教訓 全体像を把握することは重要 参考文献 ・ 勤務先が引っ越した“ネクストケンダールスクエア”とは? (バイオテックのスペースに余裕が出てきた話

AIとのおつきあい

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2024年1月号の実験医学の特集は、「 AI・シミュレーションによる科学的発見は可能か 」である。  最近はどこでもかしこでもAIである。特集から引用   ”発見そのものに気づくことができる各ドメインの専門知識を有し、かつ、AIの長所と短所を理解し使いこなすことができる専門家の育成が必要だろう”   ということで、AIを無視というわけにもいかず、逆に丸投げというわけにはいかないようである。もう一つ学ぶことが増えた????   昔新しい実験機器をいろいろ試しながら使っていたら同僚に「Are you getting know each other? (機械と)お知り合いになってるの?」と言われたことがある。ChatGPTもいろいろ放り込んで、何が得意で何が下手なのかを試しているし、AIともお知り合いになるのが良いのかもしれない。末長いお付き合いになりそうである。 実験医学の特集は希少疾患への応用とかについても書いてあって、興味深かった。 友人に勧められた STAT のポッドキャストをジョギング中に聞いているのだが、こちらもAIについての特集である。   AIで使う情報が平常と病気の状態とは違うので、病気の状態での情報を使わないといけないそうである。 それとDiscovery(最初の薬の候補を見つけるところ)にAIを使うよりも、臨床試験のPhase III(日本語で何ていうか忘れた)のところで失敗しないようにAIを使ったほうが良いのではないかという話だった。確かにPhase IIIはお金と時間がかかる。患者さんの選び方とか、考えるだけでも大変そうである。 興味のあるかたはぜひポッドキャストをどうぞ。 次はちょっと脱線して 複数標的薬について 生物にはredundancyが組み込んである。RedundancyについてもChatGPTに説明してもらう。  --- Redundancy(リダンダンシー)は、ある機能や情報が冗長であることを指します。これは、特定の機能やデータが複数の方法で提供され、もし一部が失われた場合でも全体の機能が維持されるようになっている状態を指します。Redundancyの導入は、システムやプロセスの信頼性や安定性を向上させるために行われることがあります。 例えば、コンピュータシステムにおいて、冗長なハードウェアやバックアップシス

「気合いと度胸」で成功する人たち 「優雅な留学が最高の復讐である」より

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MD(医師)で、アメリカのAssistant Professorだった人との昔の会話。ものすごく優秀な人である。 「アカデミックにいた時、周りをみると優秀な人たちばっかりで、その人たちと競争していけるわけないと思ったので、アカデミックを去ったんだ」 私は大学にいた時に、そんなことを考えたこともなかった。確かにものすごい優秀な人はいたが、「ものすごい優秀な人たちと競争してやっていけるだろうか」なんてことは思わなかった。「出来るとこまで行って、ダメだったら、その時また考えよう」と思って挑戦。 なんも考えてなかった。つまり考えが足りない(笑) そんなことは気にもしてない(爆笑) 昔私が書いた島岡先生の本について書いたレビュー。 『優雅な留学が最高の復讐である 若者に留学を勧める大人に知ってほしい大切なこと』 書評 本から一番気に入った文章を引用する。 「世の中には度胸はあるが,考える力がない人がかなりいます.このような人たちは,度胸があり,考える力はないかもしれませんが,気合でたいていのことは乗り越えられると本当に信じているので,学のある賢い人が完全にドン引きするようなリスクの高い選択も,気合で取ってしまいます.そして気合で挑戦した度胸はあるが考える力のない人の大部分が,当然なんらかの形で失敗に終わります.しかし,少数の運のいい人は生き残り,成功してしまいます.」 「少数は,確率はドン引きするほど低いとしても運良く成功し,すべての果実をかっさらっていくのです」 素晴らしい!  しかも、失敗した人、失敗から学習する能力があって懲りないなら、なんどもなんども成功するまで挑戦するんだな。  失敗して後で「そうだったのか!」と思うことしばしば。でも次回同じようなことがあったら違う行動を取ればよいだけだし。 本書の中で最高の文章は著者紹介にある「しかし失敗しても,命まで取られないことを学ぶ」である.そう,失敗しても命までは取られない。今リストラされて失業中だけれど、命までは取られない。 今日の教訓 失敗しても命までは取られない。  過去のブログ ・ 島岡さんがまた本を出した! 2015

4年目にしてコロナに初めてかかった

コロナにかかった! 4年目にして初めてである。かからない人がいるという話をNatureかScienceで読んだので、期待していたのだが残念なことにそういう人ではなかったようである。 ワクチンはちゃんと10月ごろに近くの薬局でコロナとインフルエンザの二つを受けておいた(保険が効くのでタダ)のだが、さすがにかかるものはかかるのである。  熱なし。 咳なし。 最初の二日ぐらいはほぼ食欲なし。 でもそれ以外はほぼ問題なし! 一週間ぐらい頭が動かないだけ! このままずーっと頭が動かない状態になっていたらどうしようかと不安になったが、一週間ぐらいで元に治った。 やれやれ。  私の頭脳動かなかったら、使い物にならないし!  頭脳は使い物にならなかったので、読書(軽い読み物)とマンガを読んですごした。最近オンラインでタダで(昔の)マンガ読めたりするのですねー。知らなかった。良い世の中になった。( イティハーサ とか読んでる人) もっとも宣伝が入っていたりするのだが。 今日の教訓 初めてコロナにかかった 過去のブログ ・ 2022年新年のご挨拶 ウィルスってすごい

The Magic of Thinking Big(大きく考えることの魔術―あなたには無限の可能性がある)

 ホノルルマラソンに行く前に読み終わった本はこれ。 The Magic of Thinking Big   日本語は、「 大きく考えることの魔術―あなたには無限の可能性がある 」である。前にブログに書いた「 お金持ちになるための40冊の本 」のうちの一冊である。  ChatGPTに訊いてみた。 ---- 「The Magic of Thinking Big」はDavid J. Schwartzによって書かれた自己啓発書で、1959年に初版が出版されました。この本はポジティブな考え方の力に焦点を当て、読者に対してより高い目標を設定し、自己疑念を乗り越え、ポジティブなマインドセットを育むよう奨励しています。 この本のキーポイントには以下が含まれます: 大きなことを考える : Schwartzは大きな目標を設定し、野心的な目標を持つことの重要性を強調しています。大きなスケールで考えることが、より大きな達成につながると述べています。 恐れと疑念を乗り越える : この本は、個人および職業的な成長を妨げる可能性のある一般的な恐れや疑念に対処しています。これらの精神的な障害を克服するための戦略を提供しています。 行動を起こす : "適切な"瞬間を待つのではなく、本は読者に対して即座に行動を起こし、目標に向けて働き始めることを奨励しています。 ポジティブなマインドセット : Schwartzは困難な状況でもポジティブな態度を維持することの重要性を訴えています。本によれば、ポジティブな考え方は結果に影響を与え、成功を引き寄せることができるとされています。 自信を構築する : 著者は能力への自信を構築する方法について説明し、個人の潜在的な可能性を信じるマインドセットを育むことの重要性を強調しています。 この本は多くの読者に影響を与え、時の経過とともに評価され続けていますが、自己啓発書に対する個々の意見は異なる可能性があります。この本の特定の側面について質問がある場合や、知りたいことがあれば、どうぞお気軽にお聞かせください。 ----  気に入ったところ 1. 大きな目標を持つ Think little goals and expect little achievements. Think big goals and win big success.  Rememb

実験医学2023年12月号 炎症老化(Inflammaging)

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  実験医学2023年12月号は炎症老化(Inflammaging)  歳をとっていくにつれて慢性炎症が増えていく(?日本語おかしい?)話。私は100歳まで生きる気がするので切実な話である。あ、でもアメリカの食事と生活だから、もうちょっと早く死ぬかしら? でも片道1時間の自転車通勤してたしなー。今も走ってるし。。。。   話を元に戻して。 私は免疫に興味があるので、免疫細胞に焦点をあてる。歳をとると胸腺が老化してきて、胸腺が老化してくるとナイーブT細胞が出来なくなる。 胸腺細胞については、はたらく細胞でどうぞ 。はたらく細胞のせいで日本では免疫学者が増えるのかしら。。。 そうそう、この胸腺細胞教官がいなくなるのよね。どうなるんだと思ったら、胸腺は脂肪になってしまうらしい(涙)  ナイーブT細胞ができなくなると、免疫系は新しい脅威には対応できなくなる。老人にはインフルエンザのワクチンを年に2回打つことになるのもそういうことである。免疫細胞も昔のことは覚えているけど、最近のことは覚えることは難しいからね。 老化していく免疫細胞の話を読んでるだけで悲しくなってきたが、不思議な現象も出てくるらしい。 スーパーセンナリアン(110歳以上の人)の免疫細胞にはCD4+キラーT細胞があるそうな。 普通はキラーT細胞はCD8+であって、CD4+じゃない!CD4+キラーT細胞って一体なに!と思って一年ぐらい経っているが、 一体何ものなのでしょう。。。なぜ興味があるかというと、以前こんなレビューを読んだからである。   Cytotoxic CD4 + T cells in cancer: Expanding the immune effector toolbox (Immunity)  CD4+キラーT細胞がガンにいて、抗腫瘍免疫に貢献しているという話。 そのCD4+キラーT細胞はお年寄りの身体で一体何をしているのか。。。謎ですねー。 次に気になったのはTertiary Lymphoid Structure(TLS)の記事 。免疫細胞はウィルスとか細菌とかに出会った場合にリンパ腺に移動し増える。増えたときに綺麗な構造をつくるがこれはSecondary Lymphoid Structureと言われる。似たようなものが他の組織にできる時があってそれはTertinary Lymphoid S

起業家のポッドキャスト(How I Built This)

昔会社の人事の人に教えてもらったポッドキャストを最近ジョギング中に効いている。 How I built this いろんな起業家にインタビューをし、どうやって会社を作ったかを語ってもらうポッドキャスト。インタビューアーのGuy Razの聞き方が上手なのもあるし、語るほうも苦労から成功から上手になんでも語ってくれる、楽しいポッドキャストである。  月にレアメタルの発掘に行く会社を作るとか。 電気自動車のピックアップトラックを作る会社とか。 ファッション打ち立てたとか。 Kombucha (日本の昆布茶ではない)を自宅のキッチンで作るところから始めたとか。 どん底から這い上がって化粧品の会社を作ったとか。 Shared kitchen(共同キッチン)で食べ物作ってDoorDash(食べ物を配達してくれるアプリ)で配達したとか。レストランにもバイオテックみたいなインキュベーターがあるようで、びっくりした。でもよく考えたらクッキングも実験も同じような感じだし。 聞いてて非常にモチベーションの上がるポッドキャストである。もう勘違いして私も会社が作れるんじゃないかとおもうぐらいモチベーションがあがる(笑) 起業してみたい人は是非どうぞ。英語の勉強にもなるし。 今日の教訓 起業家のポッドキャストを聞くとモチベーションが上がる。 過去のブログ ・ お金持ちになるための40冊の本