一長一短

一長一短
人や物事について、いい面もあり悪い面もあること。長所もあり短所もあって、完全でないこと。

しょっぱなから脱線で始まることにする。
この前のブログ「エッセイ続き」を書いたあと、「一年間ぐらいブログ読んでましたが、(研究者は男性が多いから)てっきり男性だと思っていました!」というコメントをいただいた。「コメントが届きました」のメールをBloggerからもらって、コメントを読んだのだが、どうもコメントされた方はブログのほうからは消してしまったらしい。
私は親と電話して「男だと思っていたらしい!」と二人で受けてたのに。残念。

では、「日本にいては想像できないんでは?」というアメリカの研究状況について。
私のラボはボスを含めて5人である。フランス人同僚がワインの首都(ボルドー)に帰ってしまい、テクニカルアシスタントの男の子も無事メディカルスクールに入ってしまって、なんとボスは男性だが、その下全員女性ということになってしまった。あまりにバランスの悪いので、ボスに「女性が多すぎる」という意味不明な文句を言ったのだが。ボスがいうには、最近はメディカルスクールも女性の割合がおおいし、PhDコースに来る学生も圧倒的に女性が多いとのことである。
そういえば隣のラボも、別の隣のラボも女性が半分以上を占めている。ついでにいうとfull professorレベルではまだ女性の割合は50%とかに達してないと思うが、その下のレベルではかなり女性の割合が高い。
なぜか。
男性はPhD(博士)なんていう、給料の悪い職にはつかないのである。たぶんMBA(経営学修士号)なんぞを取っているのであろう。それかFinancial(ファイナンシャル) 系に勤めてEconomic Crisis(経済危機)を引き起こしたか。。。。逆に大学の先生になってしまえば、独立しているので、「子供が熱を出したから引き取りに来て」という保育園の急な要望にも対応できるのである。うちの大学の免疫学のセミナーに招待された女性の先生とかも「子供が病気になったので」という理由でセミナーをキャンセルしたことがある。まあ、私に取っては「大吹雪で飛行機が飛ばなくなったので来れない」と「子供が病気になったので来れない」は同じレベルである。どっちもかなり不可抗力。
ということで、コンピューターとかメカニックは知らないが、少なくともバイオロジー系は女性が高い。

ついでにfull professorレベルはともかく、下のレベルではアメリカ人は少ない。したがって大学は多国籍軍である。
なぜか。
ポスドクやアカデミックの給料が悪いからである。PhDを取って企業につとめりゃ、給料もいいしねー。それに大学の授業料の借金もあるだろうし、それを返さないといけないから、おいそれと大学なんかには残れないだろう。そういうことで、アメリカのアカデミックは、各国から一旗あげようと集まって来た精鋭ぞろいの多国籍軍で形成されている。

というのが私の偏見入りの意見。

さて本題に入って。
ハーバードの地獄の英語教室も終盤に近づいた。面倒なことにプレゼンテーションをしなければいけないらしい。しかもIntersectionality and ○○○というテーマである。自分の好きなテーマでいいので、Intersectionality and sportsとか、Intersectionality and foodとかでもいいらしい。

私の場合はIntersectionality and academic positionにしてみた。日本の大学とアメリカの大学における女性教授の数を比較、どういう取り組みをしているかを話す予定である。前に書いたときもあるが、日本の女性教授の数は圧倒的に少ない。女性研究者に対する偏見とか、取ってくれないとか、いろいろなことはともかく、女性の一番の関心事は子育てに対する各大学の対応である。

ボストン大学はMaternity Leaveは3ヶ月まで取っていいらしい。しかもその間は給料はもらえるらしい。
東京大学の子育て・両立支援情報によると、
場合、法により最初の6週間は産休を取ることが義務づけられているらしいので、当然ながらその時は取っていい。そして出産一時金39万円が所属している健康保険組合から支給されるらしい。育児休暇は子供が3歳になるまで取っていいが(というか、3年も取ったら研究の世界で浦島太郎なのでは?)、その間は給料無しである。

わー。


そして、ハーバードについて、こんなのも見つけた。
Women Making Gains on Faculty at Harvard (New York Times)
Professors can get up to $20,000 to help pay for child care, there are new programs to encourage young women to pursue science and research careers, and seven of the 16 members of Harvard’s Council of Deans are now women.
(Women Making Gains on Faculty at Harvard

おおー! ハーバード大学のprofessors(assistant professors, associate professors and full professors)になったら、child careに$20,000(1ドル100円として200万円)をもらえるのか!
そりゃいいわ。ちなみにハーバードの学長は女性だし、そういうところもちゃんと配慮してるのね。

ここまでみるとアメリカの制度のほうが良さそうに見える。
だが、そうはいかないのであった。

日本の大学には、一時的に預かる保育所とか、0歳児保育の情報とかがでていたので、見た。東京大学内の保育施設によると0歳時保育の1ヶ月にかかる費用は親の収入にもよるけれど、最高56000円。

やす!

1ヶ月5万6千円で0歳児預けられるのかー。私だったら、大いに預けるぞ。

ハーバードのLongwood Medical Area(医学部や病院のあるコンプレックス)にあるchild care centerによると一番安くても$1,785(1ドル100円として17万8500円)である。
年間ではなくって、1ヶ月17万8500円ね。

そして、High costs of child care can lead to lifestyle changes, adjustments (USA Today) によると、4歳児のchild careの平均の費用は、マサチューセッツ州では$9,628 (1ドル100円として96万2800円)である。このデータは2006年だから2010年にはもっと上がっているだろう。
給料がchild careで全部無くなるという話を聞くが、本当である。 
それだけじゃなくって、大学の授業料も高いしー。ハーバードが$20,000くれたら足しにはなるが、それだけでは足りないな。最近私の周りではつぎつぎに子供が産まれた家族がいるから、どうしているか訊いてみよう。

今日の教訓 そういうことで、一長一短なのであった。

過去のブログ
エッセイ続き
年間500万円! (アメリカの大学の授業料について)

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