アメリカの国防費予算増加とNIH予算削減

トランプ大統領が国防費予算増加の提案をした。で、そのおかげで他の分野の予算が削減されることになった。

Who Wins and Loses in Trump’s Proposed Budget (New York Times)

いわく、国防費を$521.7 billionから$574 billionに増加する。そのおかげでNIH(National Institute of Health、アメリカ国立衛生研究所)の予算が約18%削減されることになったのである。

まだ提案状態なので、なんとも言えないが。$574 billionって一体いくらよ?
574,000,000,000ドル。
今1ドル111円だから、
63714000000000円。
63.7兆円?(←数字あってる?)
この63.7兆円、1年分だし。

この63.7兆円がどれだけすごいかは、こっちの記事より。

Is America’s Military Big Enough?

いわく、アメリカの国防費は次の7カ国の国防費の合計よりも多く、全世界の3分の1である。

7カ国分の国防費!


全世界の3分の1!

アメリカ、数字で他国を圧倒? 一体何に使っているので? 何持っているのかのいろいろデータが2番目の記事に載っている。興味のあるかたはどうぞ。

どっかを増やせばどっかを削減しないといけないのは当然なので、いろいろな分野が削られている(1番目の記事に掲載)。そのうち私の気になるのはNIHの予算。

Why Trump’s N.I.H. Cuts Should Worry Us

投稿したのはもとNIHのDirectorをしていたHAROLD VARMUSである。(日本の新聞はどうかしらないが、アメリカの新聞は自分の意見を投稿できる)引用。

Over 80 percent of its resources are devoted to competitively reviewed biomedical research projects, training programs and science centers, affecting nearly every district in the country.

その元Directorによると、NIHの予算の80%はNIHの外に配られている。いわばうちの大学とか病院の研究費とか、training program(PhD studentのT grantとかだと思う)とか、サイエンスセンターにいくわけですな。その次のparagraphをまた引用。

The N.I.H. awards multiyear grants and contracts, but receives annual appropriations that must be spent that year. This means that at the start of each year most of its dollars are already committed to recipients of awards from prior years. A budget cut of the size that is proposed would effectively prevent the awarding of new grants or the renewal of any that have reached the end of a multiyear commitment. Junior scientists, already struggling in a highly competitive atmosphere, may not get a chance to have an academic career. Senior investigators might need to lay off staff, disrupting research teams and leaving projects unfinished.

研究費の一般的なR01とかは5年ものなので、毎年の予算がきまったときに、もうすでにお金振り分けが確定しているものがある。したがって、一番影響をうけるのは新規に申請した研究費申請書、および5年の再更新(competitive renewalといって、ちゃんと厳しい申請がある)の研究費申請書である。このレベルの予算削減だと若い研究者(すでに競争がはげしくて苦労している)はアカデミックでのキャリアを確立するチャンスがないかもしれない。そしてシニアの研究者(もう地位を確立している研究者)はスタッフを解雇しなければいけないかもしれない。結果プロジェクトが未完に終わることになるかもしれない。

という感じである!さらにどよーんとしてしまった。

今日の教訓 さて私はどうするよ?

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アメリカ政府営業再開と、グラント書き

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