目からウロコのサイエンス その1 夜型でもいいんじゃん!!!!!

5月1日のScience Podcastを聞いていたら出てきた話。 それをそのまま文章にしたのはこっち。(二つあわせて英語の勉強にどうぞ)
元ネタはGood News for Night Owls
Night Owlは夜のふくろうで、英語で夜型人間に意味。 この記事は「夜型人間に朗報です」というタイトル。 内容を簡単に説明する。

睡眠をコントロールするのは、circadian rhythm(概日リズム)とsleep pressureである。Sleep pressureは日本語の単語は何て言うかわからないけれど、「何時間起きていられるか」ということらしい。
この研究では、16人の朝型人間と、15人の夜型人間に協力してもらった。
その人達には、スクリーンに映っている数字を見ていてもらって、その数字が変わった時点でボタンを押すというテストをしてもらった。(実験ともいう)
実験がそれぞれの人の概日リズムに影響しないように、協力してもらった人達には、普段と同じように寝てもらった。そして起きてから1.5時間後(1時間半後)と10.5時間後(10時間半後)に上のテストをしてもらった。
1.5時間後の反応は朝型も夜型も一緒だった。
だが10.5時間後の反応は夜型人間のほうが6%早かった! 
記事での結論としては、朝型人間は夜型人間よりも、早くに集中力を無くすのではないかと。(論文の結論はもっと専門的)
Podcastでは、夜型人間は「statistically significantly better? (統計学的に有意差が出て反応がよいのか?)」という質問をしているが、有意差ありで反応が良いらしい。
その後Podcastでは、「じゃ、朝型人間は遅くなったら建築現場とかの危険な場所で仕事をしないほうがいいのでは?」とか、「朝型人間の学生は午後にテストを受けたら夜型人間よりも点数が悪いのでは?」という話になっていた。
ちなみに朝型が5時に起きるとすると1.5時間後は6時半、10.5時間後は3時半ね。3時半はまだ勤務中。
夜型が8時に起きるとすると1.5時間後は9時半、10.5時間後は夕方6時半ね。

この話は夜型人間の私にとっては、本当にGood Newsだ!
今までどれだけ「朝型にしましょう!」っていう話を何回読んだ、聞いた、言われたか。。。。。「朝のほうが絶対頭がスッキリするので仕事の効率がいいから、朝型にしたほうがいい」とか、なんとかかんとか。 
Google Japanで「朝型」って入れてみたら、「朝型 生活」「朝型 勉強」「朝型 メリット」「朝型 仕事」「朝型 ビジネス」とかいう単語が候補として出てくる。 (←良いイメージ)
「夜型」って入れると「夜型 直す」「夜型 改善」「夜型から朝型」という単語が候補として出てくる。 (←悪いイメージ)
こんな時代は朝型ビジネスマンが勝つ! 2009年は朝からはじめる特集! (Yahoo Japan)
目指せ「朝型生活」 さえる頭 静かな職場 はかどる仕事 (Yomiuri Online)
さらにYahoo Japanの特集の中には「あなたを朝型に変身させる10のステップ」とかある。

「夜型生活  さえる頭 静かな職場 はかどる仕事」とか「夜型ビジネスマンが勝つ!」なーんて記事も特集も、誰も書かないのよねー。
私も朝型にしようという努力もしてみたりしたのだが、三日と続かなかった。私は夕方頃に「さえる頭 (皆帰っちゃって)静かな職場 はかどる仕事(ルンルン!)」なのである。

研究には、いつでも反対意見が出てくるし、「もっと人数を増やしたほうが?」とか、「他の時間はどうだったの? それをデータとって欲しいなあ」とか、研究者としてはいろんな注文もしたくなるので、なんとも言えない。 ただ一つ私が思ったことは、

夜型の人は何も無理して朝型に直さなくてもいいのでは?


ってこと。 これだけわかっただけでもすっきりする。 
はー。(←安堵のため息)
私の知っている優秀な人は朝型のほうが多いような気がするので、私も「朝型にしたほうがいいのかも?」と思ったこともあった。でももう朝型人間の「朝のほうが仕事がはかどるよ」発言にはだまされないし。そんなことを言ってくる人には逆に論文あげて、「朝型の人は、朝のほうが仕事がはかどるのではなくって、午後頭が働いてないだけじゃん(つまり、朝型がいいという発言自体がナンセンスなんだよ)」って言うし。(←ここぞとばかりに反撃)
これで、その道の専門家以外は黙ると思うわ(笑)。
朝型人間の頭が午後働いているか否かはともかく、私が言いたいことは要するに、「朝型でも夜型でも集中するできる時間に仕事すればいいのでは」ということである。

今日の教訓 夜型は、別に直さなくてもいいらしい。

研究者ではない方へ
サイエンスの世界では有名な雑誌が3つあります。Natureネーチャー 日本語で自然)、Science(サイエンス 日本語で科学)、Cell(セル 日本語で細胞)です。それに論文を載せることは非常に名誉なことです。今回の論文は、そのScienceに載っている話でした。
ちなみに業界では3つの雑誌の頭文字をとってCNSと言うらしいですが、私はつい最近までそれを知らず「CNS? Central Nervous System(中枢神経系)? 何のこっちゃ?」と思っていました。

参考文献
Good News for Night Owls (Science NOW) (購読していていなくても誰でも読めるはず。一般人でもわかるように書いてある。英語)
Homeostatic Sleep Pressure and Responses to Sustained Attention in the Suprachiasmatic Area (実際の論文で、Abstract以外の中身を読むにはScience Magazineの購読が必要。私は読んでないので、あしからず。もちろん英語)

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