Posts

おそるべき歯科保険

前に書いたとおり、私はアメリカで歯の治療中である。 歯の神経を抜いて、クラウン(歯のかぶせ物)をつけることになっている。 治療費はだいたいいくらか聞いているが、毎回増加したりしているので、はっきりあきらめている。 歯の治療がすんだ後、隣の研究室の女の子に「今歯の治療中なんだよ。クラウンつけるの」と言ったら「それって、すごく歯が悪いんだね」と言われた。 私「そう。でも親不知抜くよりは安いんじゃないかな。私の友人親不知抜かなくっちゃいけないんだよ」 友達「ハーバード大学はうちよりも歯科保険がいいんだよ。もっとカバーしてくれる」 なにーーーー!!!!!!!! ハーバードはうちよりも保険がいいのか。 ぶーぶー怒ってる私に向かってその友達は言った。 「ほんとは私も歯医者に行かなくっちゃいけないんだけれどね。この前の夏保険に加入したばっかりだから、治療あんまりできないの。」 私「ん?どういうこと?」 友達「ここの保険悪いから、個人の保険入ってるの」 私「んー。よさそう。いくら払ってるの?」 友達「月47ドル」 私「は? 月47ドル!!!!」 友達「そう。月47ドル払ってるの。歯科保険なんて歯が悪くなってから加入する人が多いからさ、最初の半年ぐらいはレントゲンとかそういう簡単なものだ け。次の半年間はちょっとした治療はできるけど、本格的な治療は1年経ってからなの。だからそれを待ってるの」 月47ドル(約5000円)ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! 年間564ドル。それって6万円越すよ! 一体何を治療するの! しかも今から加入しても一年後アメリカにいないかも、私の場合。 と思った日本人だった。 参考までに、私の歯科保険は月8ドルという、なんだそりゃ(?)な金額だ。 だからあまりカバー出来てないのかもしれないが。 今日の教訓1 やっぱり歯は全部なおしてからアメリカに来ましょう。 今日の教訓2 歯科保険には注意しましょう。

ヤンキー スワップ

クリスマスの時期になった。 この時期になると、ドイツの研究室もアメリカの研究室もクリスマスパーティをする。 今回はアメリカの場合。 隣の研究室のクリスマスパーティにお邪魔して、ランチを食べた。 そして、その後クリスマスプレゼントの交換だった。10ドルのクリスマスプレゼントを一人一つずつ持ってくる。10ドルということになっている(大半学生だし)。もちろんきれいに(?)包装されている。 だが、アメリカ人は単なるプレゼント交換をしなかった。ゲームでプレゼントを交換するのである。 その名も、ヤンキー・スワップ( Yankee Swap )! なんともかんともアメリカらしい名前である。 そして、内容も非常にアメリカらしかった。 皆くじを引いた。くじにはプレゼントの数だけ番号が書いてある。 1番を当てた人は、最初にプレゼントを選んで、みんなの前で開けて、「こんなのを私はもらいました」という感じで皆に見せた。 2番目を当てた人は、次にプレゼントを選んで、みんなの前で開けて、「こんなのを私は手に入れました」という感じで皆に見せた。 ここからが重要。 この2番目の人は、自分のプレゼントが気に入ればそのままもらってよい。しかし気に食わなかったら、1番目の人と交換できるのである。 そして3番目の人が次にプレゼントを選んで開けて、皆に見せて、気に入ればそのままもらってよい。しかし気に食わなかったら前の人の物、つまり1番目2番目の人の物と交換できる。 4番目、5番目と続き、最後まで一人ずつプレゼントを開けて、気に食わなければ前の人がもらったものと交換できるのである。 かわいそうなのは1番目の人である。しかしちゃんとルールがある。1番目の人は誰とも交換することができなかったので、最後までプレゼントが全部開けられ た後、プレゼントを交換する権利がある。 したがって1番目の人が一番トク。 したがって2番目の人が一番損。 この不公平さが見事。 苦労して買ってきたものや、適当に買ってきたものなどいろいろある。自分が気に入ったらそのまま「これにするわ」と言い。気に食わなかったら「ごめん、私 それが欲しいの」と言って嫌がる人から取っていく。人気商品は何度も何度も持ち主が代わっていた。 教授も秘書さんもポスドクも学生も大騒ぎ。 たかが10ドル(約1200円

雪が積もりました

ボストンにも雪が積もった。 ドイツ ミュンヘンと同じく、一旦積もるとなかなか溶けない。 除雪車がガーガーと雪をどけている。 残念ながら全部は取らないので、凍ってしまい、スニーカーだとつるつる滑る! 車道は完全に溶けているのだが、歩道は全然である。 私のボスによると、家の前の歩道の雪かきをしないで人が転んで怪我をすると、法律により(またLaw?)、家の人の責任になるんだそうな。 結構聞いたことある話だ。ドイツでもそういう話を聞いたことがある。 ドイツ ミュンヘンのやり方は、歩道の雪をある程度どけて、でも除雪車は完全に取れないので、砂利をまくのだ。 撒かれた砂利というか小石は雪の中にはまるが、完全に埋まらず、滑り止めになる。 非常に歩きやすい。 日本では雪国に住んでいなかったので、これは雪国の方法か、それともドイツの方法なのか、いまいちわからなかった。 アメリカでも同じ方法があるのか、医学キャンパスの中の道は、ガラス(車のガラスのように尖っていないもの)が撒かれていて、キラキラしていた。 なら歩道も撒いてほしいものだが、それは各家の責任らしい。さすがなんでも自己責任のアメリカ。 スェーデンの北極圏に行ったときは、何も撒いていなかったな。もっとも私も親もスノーブーツをはいていたが。それでも時々滑っていたような気がする。 私の家の前の階段には、雪を溶かす塩が撒かれていた。日本でもよく橋のところに置いてあって凍結したらまく、あの塩である。 「うちは玄関に塩がまいてあったよー」と親に言ったら、うけていた。 今日の教訓 雪が降ったら、石をまく。

Please sign here ドイツ編

ポスドクの話がメールで決まった後、ドイツから契約書が送られてきた。 これが、全くのドイツ語なのである。 日本で雇われるポスドクや留学生は、日本語の契約書をわたされるのだろうか、非常に疑問だったが、ドイツの契約書はドイツ語だった。 4ページドイツ語で書いてある最後に、ポストイットで「Please sign here」と書いてあった。 さらに別の用紙があり、質問事項がたくさんある。 ????? という状態である。ドイツ語を大学で履修していても、契約書が読めるわけがない。ドイツにはE-mailで受け取ったことを連絡し、少し時間を欲しいと 言った。 ドイツに4年ぐらい住んでいたという先輩に速達で郵送し、読んでもらった。 もちろん自分でも辞書をひき読む。 わかったことは契約書には、名前、住所、国籍、給料の出所などが書いてあったこと。 別の書類は訳するとかなり面白かった。 「結婚してますか? 子供は何人いますか? 離婚してますか? 離婚していても子供はいますか? 結婚していなくても子供はいますか? 扶養家族はありますか?」 という、おそらく給料に影響を及ぼすと思われる書類。 「兵役に行っていましたか?」という、日本では見られない書類。 「○○の教えを信じますか? ××のグループと関わりあいがありましたか?あるいは活動に参加しましたか?」という書類。 ○○や××が何かはさっぱりわ からないが、質問に対する答えがNein(いいえ)、Ja(はい)の順であることから、「いいえ」のほうがややこしいことにならないことがわかった。 しかしわからないところはさっぱりわからない。 わからないものにはサインをしないというのは、全世界の常識だが、ここは仕方がないので、サインをした。 この話をしたら先輩が「『研究に失敗したら、どっかのハーレムに送る』って書いてあるかもよー」というすごい冗談を言っていた。 後で契約書以外の書類については、ドイツについてから秘書さんが英語で記入を手伝ってくれた。(その時の英語がわかっていたかどうかは別問題) 今日の教訓 契約書はじっくり読む(無理か?)

航空券ください

ポスドクの契約書も書いて郵送し、ある程度話が具体的になったころ、私はあることをした。 研究留学の本をいろいろ読んでいて、航空券を行き先の研究室からもらうという話があった(あるいはあった気がした)のを思い出した。 日本の助教授の先生に相談してみた。どうなるかは知らないが、やってみる価値はあるのではないかと。 そこで知っている限りの丁寧な英語で「今学生でお金がないので、ドイツへ行く航空券を下さい」とドイツのボスにメールを送ったのだ。 学部4年、修士課程2年、博士課程3年、合計9年間も大学に行けば、アルバイトをしていてもお金は足りない。 4月なので片道10万円ぐらいとはいえ、学生には結構なお金である。それに住んでいたところから家財道具を実家に全部送り、さらに荷物をドイツへ郵送するのだから、お金はかなり飛んでいく。 そしてドイツのアパートの保証金(家賃2か月分)と最初の家賃1ヶ月分。 秘書さんからの返事は「うちのボスは何ユーロまでなら喜んで(?)出すと言ってる」というものだった。 やってみるものである。 ドイツで日本人相手にやっている旅行会社 独日ライゼ http://www.djrb.de/ から航空券を買う話を秘書さんにメールを送って、旅行会社にはドイツの研究室に請求書を送ってくれるように連絡をした。そして航空券を手に入れた。 アメリカに来る時は別にお金に困ってはいなかったが、同じようなメールを出してみた。 新しいボスからの返事は「もしお金に困っているようだったら、後で払ってあげるよ」というものだった。敵もさるもの。私は行った後、面と向かって自分がお 金に困っていることを言わなければならない。 面白いのは、その話をドイツのボスに言った時の反応である。 「航空券もらう?そんな話聞いたことないぞ。お前そんな話きいたことあるか?」他のグループリーダーに尋ね、「でもお金がなければ単純に『あげれない』と 言ってくるだろう。なら別に理にかなってる。アメリカに行ったらお金に困ってるってちゃんと言うんだぞ」と、自分が私に航空券をあげたことをすっかり忘れ てしゃべっていた。大体ドイツでグループリーダーになるような人はフェローシップを持ってアメリカに留学するので、航空券は持っている。私の場合は行き先 に給料をもらうので、航空券は持ってない。 研究留学で