航空券ください

ポスドクの契約書も書いて郵送し、ある程度話が具体的になったころ、私はあることをした。
研究留学の本をいろいろ読んでいて、航空券を行き先の研究室からもらうという話があった(あるいはあった気がした)のを思い出した。
日本の助教授の先生に相談してみた。どうなるかは知らないが、やってみる価値はあるのではないかと。
そこで知っている限りの丁寧な英語で「今学生でお金がないので、ドイツへ行く航空券を下さい」とドイツのボスにメールを送ったのだ。
学部4年、修士課程2年、博士課程3年、合計9年間も大学に行けば、アルバイトをしていてもお金は足りない。
4月なので片道10万円ぐらいとはいえ、学生には結構なお金である。それに住んでいたところから家財道具を実家に全部送り、さらに荷物をドイツへ郵送するのだから、お金はかなり飛んでいく。
そしてドイツのアパートの保証金(家賃2か月分)と最初の家賃1ヶ月分。

秘書さんからの返事は「うちのボスは何ユーロまでなら喜んで(?)出すと言ってる」というものだった。
やってみるものである。
ドイツで日本人相手にやっている旅行会社 独日ライゼ
http://www.djrb.de/
から航空券を買う話を秘書さんにメールを送って、旅行会社にはドイツの研究室に請求書を送ってくれるように連絡をした。そして航空券を手に入れた。

アメリカに来る時は別にお金に困ってはいなかったが、同じようなメールを出してみた。
新しいボスからの返事は「もしお金に困っているようだったら、後で払ってあげるよ」というものだった。敵もさるもの。私は行った後、面と向かって自分がお 金に困っていることを言わなければならない。

面白いのは、その話をドイツのボスに言った時の反応である。
「航空券もらう?そんな話聞いたことないぞ。お前そんな話きいたことあるか?」他のグループリーダーに尋ね、「でもお金がなければ単純に『あげれない』と 言ってくるだろう。なら別に理にかなってる。アメリカに行ったらお金に困ってるってちゃんと言うんだぞ」と、自分が私に航空券をあげたことをすっかり忘れ てしゃべっていた。大体ドイツでグループリーダーになるような人はフェローシップを持ってアメリカに留学するので、航空券は持っている。私の場合は行き先 に給料をもらうので、航空券は持ってない。
研究留学で航空券をもらうというのは、変に聞こえるかもしれない。しかし、会社に就職した場合、おそらく会社が引っ越し代を全部払ってくれるだろう。海外 転勤になれば、その航空券代、引っ越し代全部を払ってくれる。そう考えれば、案外不思議ではないのかもしれない。もっとも航空券をもらったという話は他からは聞いたことがないが。

残念ながら、アメリカに来てから新しいボスに「航空券ちょうだい」と言うその勇気はなかった。
しかも、払ってくれるというSEVIS feeも忘れていたぞ。

今日の教訓 航空券の交渉すると、もらえるかもしれない。が、これは国際的にみても非常識なのかもしれない。

追加情報(2010年5月25日)ポスドクを雇う前にインタビューをするために来てもらう研究室もあるぐらいだから、別に航空券の請求ぐらいなんでもないと思う。

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