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藤原正彦の「国家の品格」読みました。

親が藤原正彦の「国家の品格」を送ってきた。 頼んでもないのに、わざわざ高い郵送料を払ってアメリカまで送ってくるっていうのは、まさしく「読め!」以外の何ものでもない。 しかも、しばらく放っておいたら電話をかけてきて、メールを送ってきて、「読んだ?読んだ?」と聴いてくる。「ちゃんと読んでね!」 それで昨日の夜0時からベッドの上で読み始めたら、止まらなくなり読みきってしまった。 しかも、読んだ後も本の影響で興奮しているので、寝たのは夜の2時。おかげで朝は起きるのが大変だった。 この本、「半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷」だという著者の奥さんの言うとおりである。 だが、言っていることには一理ある。 もう、蛍光ペンで線を引きたくなるぐらい的を得ているのである。多少の大風呂敷ではあるが。 親が言うには、右翼からも左翼からも「よくぞ言ってくれた」という手紙が著者に来ているらしい。 さすが数学者。しかも文学の造詣も深い。現在ベストセラーである。 左翼からも右翼からも手紙がくるのはなぜかというと、「いろいろやってきたけど、なんか違うぞ」というもやもやとしたものの原因がわかるからである。 日本、アメリカ、イギリスという3つの国を知った著者は、理由をはっきり言ってくれる。 私も知っている。日本からドイツへ、アメリカへ来てしまったので。 「みなさーん! アメリカにだまされてますよーーー!」 ああ、だまされてアメリカに来てしまった。 アメリカに来た理由は英語だったのだが、イギリスにしておけばよかった。 ドイツに帰りたい。 英語が出来ないし、研究が一流だから、アメリカに来た。日本から見たアメリカは全て一流の国に見える。 しかし、外から見たアメリカと中から見たアメリカは全然ちがう。 この国の生活の質、サービスその他最悪である。 一般人をみれば、スペースシャトルがなぜ飛ぶことができるのか、非常に疑問だ。 去年日本の大学の教授に挨拶に行ったとき「なんなんですか、あの国はーーーーー!!!!」と言ってしまった。先生は同意していた。同意するぐらいなら、留学する前に言って欲しかった。 本にあるとおり、中身を養うことは大切である。 英語は海外に数年いれば、ある程度できるようになる。 そして日本人が海外に行くとしたら、出稼ぎではないので、付

クラシックコンサート後の観客の反応

クラシックコンサートに行ってきた。ボストン・シンフォニー・オーケストラである。 初めて聴いたマーラーの感想はさておき、面白いことに気づいた。 曲が終わった後の観客の行動である。 ボストン・シンフォニー・オーケストラでは観客は、すぐに拍手をせず、数秒間があった後、おもむろに拍手が始まり、ブラボーと言い出し、だらだらと立ちだ す。かといってすぐ帰るわけではない。 スタンディング・オベーション(演奏に敬意を払って観客が立つこと・単語があってるかどうかは不明)のつもりらしい。 大阪シンフォニーホールや、京都で聞いたときは日本人は普通は拍手のみ。アンコールを要求するときもあるけれど。 ブラボーという人は時々いる。 ただし拍手はすぐに始まる。観客が立ちだすことはあまりなかったように思う。 ミュンヘンで聴いた演奏後のドイツ人の反応はもっとおもしろい。 拍手はすぐ始まる。いい演奏の時はブラボーと言う。すごくいい演奏の時は皆が、ガーっと立ちだす。 本物のスタンディング・オベーションである。だいたい興奮して立ち上がるっていうのが本当の意味でしょう??? 拍手にもいろいろある。 指揮者が各パートをそれぞれ紹介したりするのだが、いいときは拍手が大きくなり、悪いときは普通。 オペラの時も同様で、一人あるいは数名ずつ、舞台の端からでてきたら、いい人の時は拍手が大きくなる。 観客が聴く耳を持っているのである。 とんでもなかったのは、モーツアルトの魔笛を聴きに行ったときだ。 オペラ歌手が全部最後の挨拶に出てきた後、指揮者が出てきた。 すると観客が「ブーーーーー」と言い出した。 どうきいてもブーイングである。 「ああ、やっぱり、曲と歌と合ってなかったもんな。。。にしてもブーイングとは恐ろしい」と思いつつ、頭の中で有名な夜の女王の歌がぐるぐるしているまま 家に帰ったのであった。 今日の教訓 聴く耳持つこと。(難しいか)

実験のお国柄

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私の実験は濃度を変化させるものが多い。これをタイトレーション実験という。 日本にいるときはあまりしなかったが、ドイツ、アメリカでは始めてする実験では必ずタイトレーション実験をすることからはじめる。 何を細胞に加えるにしても、十分でなかったら効果がでないし、入れすぎると細胞によくない。 さて、このタイトレーション実験、実はお国柄が出るのだ。 ドイツの実験では、2倍希釈をしていた。例えば、 100 50 25 12.5 6.25 3.125 1.5625 0 という具合になる。試薬を作ったりするときは結構いい加減だが、こういう実験の時に「徹底的に」網羅するのは、さすがドイツ人という感じである。 しかしアメリカの場合は、違う方法を取る。私のボスはHalf logと言っている。 100 30 10 3 1 0 他にはLog 100 10 1 0 というものもある。 Half logの威力がどれぐらいすごいかは、実験をするとすぐわかる。 必ず欲しい条件が手に入るのである。 2倍希釈の場合は、100から1まで網羅するのに、7個の条件が必要だ。しかし、half logの場合は5個。これは必然的に試薬、その他の物の節約になる。 Logではもっと節約するが、最適条件が50の時にヒットする確率は非常に低い。 2倍希釈では濃度が50の時の値は得られるが、12.5以下のデータは全くの無駄ということになる。 Half logでは30で近い値が得られる。 もっとキチンと調べたいときには、30から100の間で2倍希釈を取ることができる。 また逆にもっと幅広く調べたい時はLogで調べればいい。 アメリカ人は、ざっと幅広く、なおかつ細かく取るのである。 問題は濃度計算だ。 2倍希釈、10倍希釈の試薬を作るのは非常に簡単だ。 Half logなんて一体どうやってそんな濃度計算をするのだろうと思っていたら、私のボスはテンプレートをくれた。 100ul作るときはこう。200ul作るときはこう、という風に。 計算がさっぱりわからなかったので、半年ぐらい放っておいたが、使用する必要性が出てきたので、最近1時間ばかりかけて、計算してみた。 結構簡単にテンプレートは作れた。私のボスはもっとややこしい計算をしていたことが

アメリカのねずみ

うちのフランス人が私のところに来て言った。 「数ヶ月前に、フェンウェイにはねずみがいるって言っていたよね?」 「そうだよ。私の友人の部屋にはねずみが出てたよ」 「うちにも出たんだよー!ガスレンジの上を走って行ったんだよ!」 さっそく友人お勧めの「ねずみ糊」を買うようにすすめたが、どうもフランス人は別のものを買ったようである。 彼の言うところによると、罠の真ん中に食べ物をのせて、ねずみが食べると罠にかかるようになっているらしい。 罠にチーズ(ねずみにはもちろんチーズだ)をのせたところ、さっそく一匹捕まったらしい。 しかし大変なのはその後であった。 チーズだけ無くなるらしい。 今日も「朝起きると。。。」としゃべりだすので、「ねずみがいたの?」とすかさず訊くと、「チーズだけ無くなってるんだ!ねずみはいないんだ!」と言う。 私が「そうだよねー。ロングウッドに近いから、ハーバード大学医学部の超優秀なマウスだね。だから捕まらないんだよねーーーー」と言うと、アメリカ人がすかさず、「いや、メカに強いからマサチューセッツ工科大学(MIT)のマウスに違いないよ」と言う。 フランス人「え、でもMITはケンブリッジ市にあるんだよね(川の向こう)」 アメリカ人「何言ってるんだ。MITのマウスだから、もちろんバスに乗って来るんだよ」 と、冗談がきつい。 フランス人は「フランスのねずみよりも賢い」と唸っていた。 今日の教訓 アメリカのねずみに気をつけましょう。

フランス人の英語

どの国の人も英語のある部分の得意不得意がある。 私のフランス人の同僚は、夕方に実験をしていて私に言った。 I am angry! (僕は怒ってるんだ!) で、私は Why are you angry?(なんで怒っているの?) と聞いた。で、彼の顔を見て気づいた。 前にも言ったとおり、フランス人は単語の最初のHを発音することが出来ない。したがって彼が言いたかったのは、 I am hungry!(僕はお腹がへった!) なのだった。 全然違う。 これがただの日本人の耳の問題でないか確かめるべく、次の日アメリカ人を捕まえて、フランス人同僚に「ねえ、昨日のやつ言ってよ」と言ったら, angry, angryと言っていて、アメリカ人は「はあ????」という顔をしていた。 もう一人のフランス人の女の子は、私の所に来て言った。 Do you have a plastic shit? もちろん私の顔は「はあ????」である。 ので、実際に何を欲しいのか見せてもらった。プラスティックで出来たシートだった。 つまり彼女は Do you have a plastic sheet? と聞きたかったのであった。が、shitは糞、あるいは「クソ!」の意味である。 彼女はsheetを練習しようとしてshit, shitと言っていた。 今日の教訓 どの人にも得手不得手があるものである。従って 日本人のRとLの発音も習得できたらいいが、出来なくてもそんなに気にしなくてもよい。 追加(2月3日) おとついボスとフランス人と一緒に実験の話をしているときに「アイヤー」と言うので、「?(わからん)」という顔をボスのほうに向けた ら「Higher(ハイヤー)」と言っていた。ボスに「なぜわかるの?」と訊くと、「いやー、慣れてきたんでね」と答えていた。おそるべし。