英語はNative speaker(英語を母国語とする人)に頼みましょう

気づいたらはてなブックマークの数が増えていた。マークをつけてくれるのはいつも「英語ネタ」ということらしい。なるほどなるほど。そういうことで今日も英語ネタでいく。この前のブログで書いたが、「アメリカ人は皆難聴だと信じて」しゃべるぐらいで日本人の音量はちょうどよいのである。私がいつも使っているボストン大学のバスであるが、学生が大音量でしゃべっている話は前に書いた。この前バスに乗っていて、バスドライバーの耳に何か入っているのに気づいた。

え? 耳栓????


さて本題に入って。
英語をグダグダ書いては、PhD student(博士課程学生)に見せている私である。その学生に「Kayの英語って短くて気に入ってるよ。」と言われた。
うう。短いのは長い英語が書けないからなんだけれど。。。。 ほめられてるのかけなされているのか。「でもたまに説明が足りないから、もうちょっときちんと書いた方がいい」だそうな。

前向きに検討させていただきます。

さてさて、こちらのPhD studentはQualifying Examと言って、偽物のグラント(研究費申請書)を一つ書かなければならない。聞いたところによると10ページである。それをクリアしないと、PhD candidate(博士候補者)になれないのである。日本の大学でも日本語でいいからやったら面白いと思うが、そしたら学生の半分が博士課程をやめてしまうかもしれない。そしてうまく出来たグラントはそのままフェローシップとして出されてしまうのではないかと勝手に思っている。
そのPhD studentの模擬グラントのSpecific Aims(グラントの最初の1ページ目にあるもので、グラントの要約)を見せてもらった。

なーにをごたごた書いてんじゃい!

アメリカ人、ほおっておいたら100ページでもグダグダ書きそうである。
同時に私も伊達に博士をとって7年研究者をやっていないと思った。英語ができたら更によろしいが、研究は英語だけの問題ではないのである。
意味不明なところで希望を見いだす私。

さて私の尊敬する島岡さんが「ハーバードでも通用した研究者の英語術
という本を出したことは前に書いた。取り寄せないといけないのだが、「本自体が高い+郵送料も高い」ので、やっていないのであった。貧乏インストラクターには「ほいっ」と払える料金じゃありませんよ。そうこうするうちに他の人の書評が出た。島岡要、J.A.Moore著 「研究者の英語術」その中の隠しメッセージの部分が重要。引用。

ーーーーー引用開始ーーーーー

最後に言わずもがなですが、この本に込められた「隠しメッセージ」についても触れておきましょう(笑)。それは、たとえ「バーバードでも通用」している島 岡さんと言えども、こうした「英語を書く本」の執筆はひとりでやり抜いていないことを見てもわかるように、正式な英語の文章の最後の仕上げは Native speaker さらには Native writer の助けを借りるべきだということだと思います。

さすがに島岡さんくらいになると必要ないのかもしれませんが、私たちは今でも英語論文は最終バージョンができあがったら Native の英文校閲者に査読してもらって訂正したものを投稿しています。もちろん、日常的なメールやCVなどまで校閲してもらう人は少ないかもしれませんが、我々 のような英語を話さない言語圏の人間の英語力はその程度くらいまで上達すれば良いのだという「あきらめ」も、また必要な「英語術」なのかもしれません。

ーーーーー引用終了ーーーーー

そうそう! ここ「悟り」の領域に到達するまで7年かかった。日本を出てからの時間の話。英語を苦しみながら書いていて「研究では負けないのに英語で負けるなんてアホらしい。遠慮なくNativeに英語をなおしてもらい、私は研究に専念する。専門家に頼めば多少高いかもしれんが、それだけ稼げばよい!」と決意したのであった。理由は以下。

1.どんなに英語を勉強しても、決してNativeレベルにはならない。ましてや私みたいな英語嫌いな人は絶対ならない。

2.超優秀でNatureとかScienceとかNature Immunologyとか一流紙にガンガン論文出しているドイツ人研究者にメール送ったら、「これ、Nativeが書く英語じゃないよね」と思われる英語で返事が来た。おそらく「ドイツ語英語」だと思われる。私に言わせれば、英語の方がドイツ語よりも文法的に簡単、単語も結構一緒ということをと考えても、ドイツ人が英語ができないのは「詐欺」である。実際ドイツ人は英語が出来るが、そのドイツ人でもちょっとだけ英語が変である。

3.私の分野の大御所と思われる人にメールを送ったら、「これ、Nativeが書く英語じゃないよね」英語で返事が来た。おそらく「チェコ英語」だと思われる。

4.フランス人同僚が投稿する予定の論文を読んでいたのだが、難解意味不明の英語だった。同僚が書いた英語ではないが。「諦めてNativeに直してもらえ」と言ったが、直してもらっていないかもしれない。この前もフランス人の書いたレビューを読んでいたが、意味不明だった。英語以外の問題かもしれないが。
あきらめろ、そんないらんプライドなんか捨てて、さっさとNativeに直してもらっちゃえ。論文がいいところに通ったら、全てOKでしょうが。

今は私もそのへんのNative speakerに英語直してもらえばいいが、将来の独立に向けてプロフェッショナルを探し始めたのであった。
Nature Publishing Group Language Editing
は、数年前にNature JapanからのeTOCで探し出したし、最近はNature Podcastでも宣伝している。これを「高い」と思うか「安い」と思うかは人次第である。私は使ったことないので、誰か使ったことある人は感想よろしくー。

あ、決して英語の勉強するのを放棄したわけではないので、そのへんのところ間違いなく。

今日の教訓 餅は餅屋!

過去のブログ
英語で「ハア?」って言われたとき。(私がアメリカ人は皆難聴だと信じている話)

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Comments

F Fries said…
大学の中にediting officeのあるところもありますよ。日本語のネイティブでも文章の上手下手があるように、英語のネイティブスピーカーでも書くのが下手な人はすごく下手です。だから、ネイティブでもediting serviceを使ってる人は結構いるはずです。

Natureは(co-authorになったときの経験からすると)、acceptされると、編集部が本文を徹底的にrewriteしてくれました。
Kay said…
F Friesさん、
なるほど。そういう話はきいたことあります。さっそくグラントオフィスに聞いてみました。今後はそういうサービスがある大学に行った方がいいですね。
Anonymous said…
英文校正なら値段的にも質的にも
http://www.uni-edit.net/
がおすすめです。
何回か再校正もお願いしたのですが無料で見てくれ、親身になってくれて気持ちよくやり取りができましたよ。
AT said…
突然のコメントで失礼します。

英文校正業界にちょっと足を踏み入れている者ですが、大事な文書はやはり内容をそれなりに理解できるネイティブにチェックしてもらうのが一番だと思います。研究者の方なら、ネイティブの同僚にチェックをお願いするのが一番簡単な手ですよね。

私は海外に住む日本人ですが、娘が英語ネイティブなので、自信のない自分の英文をたまにチェックしてもらっています。結局「本当にここはこれでもOK?」と質問攻めになることもよくあるのですが。