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目からウロコのサイエンス その4 Flying vaccine(空飛ぶワクチン)

この「目からウロコのサイエンス」は、私がScience PodCastやNature PodCastで英語リスニングの練習をしているついでに、目からウロコの面白かった話を紹介するシリーズである。 さて今日のトピックは 3月26日のScience PodCast にあった話で、transcript(文章にしたもの)は こっち 。 蚊の話である。蚊は、血を吸い取る時に唾液をまず動物にさして、血の凝固を防いでから血を吸う。その唾液でかゆくなるのである。 それをどこの誰だか知らないけど、「どうせ蚊に噛まれるなら、ワクチンを打ってもらえるようにしたらいいんじゃないか」と思った人がいるらしい。 蚊を遺伝子操作して、ワクチンを作成できるようにする。 その蚊を世に放す。 蚊に刺された人は、ワクチンができる。例えばマラリアは蚊が媒介する病気であるが、マラリアのワクチンも同時に打てば、マラリアを予防することができる。 変なことを考えた人がいるもんだ。 問題その1 蚊に1人1回ずつ刺されたら問題ないが、もし10回、あるいは100回蚊にさされたら、それだけワクチンを打たれる回数が多くなって危険。 確かに、100倍投与は問題(笑) 問題その2 人に対するときはインフォームド・コンセントが必要であるが、飛んでいってしまった蚊が人を刺すときはインフォームド・コンセントができない。 そりゃ無理だ(笑) そういうことで、とりあえず家畜にでも応用できるかどうか、考えてみるということであった。 今日の教訓 それにしても変なことを考える人がいるもんだ。 過去のブログ ・ 目から ウロコのサイエンス その3 一生のおつきあい 続き

目からウロコのサイエンス その3 一生のおつきあい 続き

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この前のガン治療の新しい方法について紹介したのだが、その後のコメントを見る限り私の「感動」が伝わっていなかったみたいなので、もう一度書く。書いてもっとドツボに入る場合もあるけどね。 えーと、PodCastから解釈して私が言いたかったことは、ガン末期患者がホスピスでQuality of Life(クオリティ オブ ライフ)をあげるための治療を提案しているのではない。人生の最後を無理に闘病せずに過ごす」というわけではない。 私の解釈によると(と、ここまで書いて「私の解釈は大丈夫か?」と心配になるが)、イメージはこんな感じ。 例えば、私が病院に行ったとする。お医者に「血圧が高いね。血圧を下げる薬をあげるから、毎日飲んでね。あと、よく運動して、塩分は控えるように」 と言われたとする。それで私は毎日薬を飲む。 次行ったとき、お医者は「血圧下がったね。じゃ、今日は量の少ない錠剤あげるから、また毎日飲んでね」と言われたとする。そして毎日薬を飲む。 そして一生薬を飲む。 それと同じように、お医者に「(いともあっさりと)あら、ガンができたね。じゃ、ガンを大きくしない薬をあげるから、毎日飲んでね。」と言われる。そして私は毎日薬を飲む。 次行ったとき、お医者に「ガンが小さくなったね。今日は量の少ない錠剤あげるから、また毎日飲んでね」と言われる。 そして毎日薬を飲む。 そして一生薬を飲むが、ガンでは死なない。他の病気になるか、寿命が来るか、事故にでも遭わない限り、死なない。 すごくない?(きっと製薬会社の収益もすごい) それとも私だけすごいと思ってる? ガンを宣告されたランディ・パウシュ教授の「最後の授業」という話をブログで1年ほど前に紹介したが、そのランディ・パウシュ教授の闘病生活を書いた ウェブサイト がある(日本語)。Chemotherapy(薬によるガンの治療)をやってガンが縮小したが、その後ガンが復活し、薬による治療を再開したが、効かなくなった。 そういうことを考えても、この発想の転換はすごいと思うのである。ガンが進行しすぎていたら、この方法は無理かもしれないが。 ここまで書いていて、 ガリバー旅行記の死なない人達の話 を思い出してしまった。 今日の教訓 それにしても、ホンマかいな???? 過去のブログ ・ 目からウロコのサイ

目からウロコのサイエンス その3 一生のおつきあい

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A change of strategy in the war on cancer (ガンと戦う手法を変更する)Natureを購読してないと読めない。 2009年5月28日のNature Podcast で紹介されていたものである。Transcript(しゃべっている内容を英語の文章にしたもの)は こっち 。PodCastとTranscriptはは普通に一般人でも聞けるし読めるはず。 PodCastの内容で、「ガンと戦う新しい方法を提案」している部分を適当に訳す。 今までは、「薬でがん細胞を可能な限り殺し、患者がなおることを望む」という方法を用いて来た。このためMagic Bullet(魔法の弾丸:普通の細胞を殺すことなくガン細胞だけを殺す魔法の薬)を開発することが薬開発の目標だった。 だがガンを「慢性の病気」とみなして治療するのはどうか、つまりガン細胞を完全に除去しようと努力するのではなく、むしろコントロールできる程度にがん細胞を殺すという方法で治療するのはどうかという提案である。 もし薬で全部がん細胞を殺そうとすると、薬に感受性のある細胞は皆死ぬが、薬に耐性のあるガン細胞は残る。この場合、薬に感受性があるガン細胞が死んだので、(場所と栄養が行き渡るようになった)耐性のあるガン細胞はものすごい速さで増殖する。薬の投与を再開しても、薬剤耐性のあるガン細胞は死なずに増殖する。 それを防ぐため、薬の最小限に抑えてガンの大きさを一定に保ち、薬剤感受性のあるガン細胞で、耐性のあるガン細胞の増殖を押さえ込む。 と、ここまでPodCastで聞いて「ホンマかい!」と私が思ったのは言うまでもない。 「このアイデアをサポートするような 研究はあるのか?」という質問に対してマウスで実験をした研究者が言っていた。 マウスの卵巣ガンのモデルで、一方のグループには プラチナを大量投与して治療を行った。ガンは縮小しほとんど無くなったが、プラチナ耐性のガンが数週間後に現れてマウスは死んでしまった。もう一方のグループには、ガンの大きさを一定に保つよう一定量のプラチナをマウスに投与した。すると無期限にガンの大きさを一定に保ったまま無期限に(寿命が終わるまで?)マウスを生存させることができた。 これを人間に応用すると、ガン患者は決して「完全治癒」することないが、低容量の抗がん剤

目からウロコのサイエンス その2 パンダは旨味レセプターが欠損している

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「目からウロコのサイエンス」というシリーズを作ることに決定した。 いつまで続くかは不明。そういうことで、今日の「目からウロコのサイエンス」 2009年12月17日のNature Podcast からの情報。Transcript(文章)は こっち 。  なんでも中国のグループがパンダの全遺伝子配列を解明したらしい。それによると、 1.パンダはもちろん熊の仲間である。 2.遺伝子を見る限り、肉を食べるための酵素は存在しているらしい。なので元は肉食動物。だがなぜ笹を食べるのかは不明。 3.旨味レセプター( T1R1 )が変異しているらしい。 旨味レセプターが変異しているので笹を食べれるのか?  Nature PodCastによると、パンダは繁殖が難しいらしい。なんでもメスは年に3日しか繁殖できる状態にならないらしい。 年に3日のみ! パンダって 七夕 の織り姫と彦星そっくり? それで七夕には笹を飾るのか? そのたったの3日にちゃんと出会えるらしい。それはそれですごい。 今日の教訓 どうやって3日間の制限時間で出会えるんだ? 過去のブログ ・ 目からウロコのサイエンス その1 夜型でもいいんじゃん!!!!!

目からウロコのサイエンス その1 夜型でもいいんじゃん!!!!!

5月1日のScience Podcast を聞いていたら出てきた話。 それをそのまま文章にしたのは こっち 。(二つあわせて英語の勉強にどうぞ) 元ネタは Good News for Night Owls 。 Night Owlは夜のふくろうで、英語で夜型人間に意味。 この記事は「夜型人間に朗報です」というタイトル。 内容を簡単に説明する。 睡眠をコントロールするのは、circadian rhythm( 概日リズム )とsleep pressureである。Sleep pressureは日本語の単語は何て言うかわからないけれど、「何時間起きていられるか」ということらしい。 この研究では、16人の朝型人間と、15人の夜型人間に協力してもらった。 その人達には、スクリーンに映っている数字を見ていてもらって、その数字が変わった時点でボタンを押すというテストをしてもらった。(実験ともいう) 実験がそれぞれの人の概日リズムに影響しないように、協力してもらった人達には、普段と同じように寝てもらった。そして起きてから1.5時間後(1時間半後)と10.5時間後(10時間半後)に上のテストをしてもらった。 1.5時間後の反応は朝型も夜型も一緒だった。 だが10.5時間後の反応は夜型人間のほうが6%早かった!  記事での結論としては、朝型人間は夜型人間よりも、早くに集中力を無くすのではないかと。(論文の結論はもっと専門的) Podcastでは、夜型人間は「statistically significantly better? (統計学的に有意差が出て反応がよいのか?)」という質問をしているが、有意差ありで反応が良いらしい。 その後Podcastでは、「じゃ、朝型人間は遅くなったら建築現場とかの危険な場所で仕事をしないほうがいいのでは?」とか、「朝型人間の学生は午後にテストを受けたら夜型人間よりも点数が悪いのでは?」という話になっていた。 ちなみに朝型が5時に起きるとすると1.5時間後は6時半、10.5時間後は3時半ね。3時半はまだ勤務中。 夜型が8時に起きるとすると1.5時間後は9時半、10.5時間後は夕方6時半ね。 この話は夜型人間の私にとっては、本当にGood Newsだ! 今までどれだけ「朝型にしましょう!」っていう話を何回読んだ、聞いた、言われた

研究者はやっぱり実験!

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知り合いの人が面白いビデオを教えてくれた。 必要なもの Diet Coke Mentos たぶん最初に見つけた人は、ものぐさでメントスを口に入れたままダイエットコーク飲んだな。 実験したーい!! うーむ。外で試してみるか? そういうことで「理科の先生」是非とも生徒と一緒に試してみてください。 問題は、「なぜそうなるか?」を説明しなければいけないことだな。 今日の教訓 ダイエットコークのボトルにメントス入れてみる。

スカンクとケチャップ犬

木曜日仕事が終わった後、研究室の人たちとポスドクのうちへ遊びに行った。アルゼンチン人だ。 私はその人の車に家まで乗せてもらったのだが、途中で「スカンクのにおいがする」と言い出した。 スカンクと言えば超くさいガスを発して逃げる生き物だ。まだ見たことがない。見たいとも思わない。 その人は言った。 「うちの近所にスカンクが住んでるの。それで、うちの犬がスカンクに向かって吠えたわけ。そしてスカンクはお返しにガスを発したの。おかげで私の家の周り は1週間スカンクのひどいにおいだったわけ」 おお、恐ろしい。 「うちの犬は1週間そのにおいに苦しんだの」 おお、犬の鼻だったら最悪な気分だろう。 「それでね、二回目にスカンクの攻撃を受けたとき、犬の全身にケチャップをぬって、中和したの。犬は3日ぐらいピンクだったけど、そのうち元の色に戻っ た」 おお、すばらしい。 ケチャップとは、また何でもケチャップをつけるアメリカ人らしい。 後から来た女の子達は、犬をみたとたん「あ、これが例のケチャップ犬?」と言っていた。 今日の教訓 スカンクにはケチャップ 追加情報 スカンクはペットとして飼えるらしい。人間とは恐ろしいもんだ。 http://allabout.co.jp/pet/smallanimal/subject/msubsub_skunk.htm