人間力英語術

島岡さんの本「やるべきことが見えてくる 研究者の仕事術」があっちこっちのブログでネタになったり、さらにアマゾンでは売り切れになっていたりする。アマゾン、売れないと思ったら甘いですよ。 島岡さんのブログをGoogle Readerで読んでいる人は今日の時点で1178人なんだから。

本には「その9 日本人中年男性研究者のための英語力向上戦略:人間力英語術」というのがある。そこから引用。

ボストンでの私の経験では、世界中の非英語圏から米国に来る研究者が英語でのコミュニケーションに苦労するリスクファクターは4つです。第1に日本人、第2に男性、第3に30歳以上、第4に立食パーティは苦手。

と、ここまで読んで笑い出してしまい、蛍光ペンで線を引いてしまった。
やった! 私は日本人だが女性だし、27歳でドイツ行っちゃったし、立食パーティ大丈夫だし。でも立食パーティのどういうところが苦手なんだろう?
さらに私が勝手にリストに付け加えると、

第5に日本人の家族持ち(奥さんも子供も日本人)、第6に日本人のいる研究室に所属、第7に週末は日本人と一緒にいる。

ここまでくると、アメリカにいるのか日本にいるのかわからなくなってしまう。当然英語をしゃべる機会がなくなるのである。

私がドイツに行くことになって親と飲んでいたときに、親が「30歳前に行くのなら、英語もうまくなるだろう」と言っていた。私の個人的な意見では25歳以下だったらドイツ語も習得できていたのではないかと思う。なんちゃってドイツ語ではなく。ちなみにこの「親」が私たち子供たちに恐怖の英語レッスンをほどこし、私を英語嫌いにした張本人である。土曜日の夕食のたびに、いかに親の注意をそらしレッスンを延期させるかが子供たちのテーマであった。まあ今も英語嫌いだけれど、恨みは薄れたので時効であろう。

話を恐怖の英語レッスンから本に戻す。
英語は私の永遠のテーマであるから、この章は興味深いのであった。ネイティブスピーカーとしゃべらないとか、英語のニュースを聞いたり英字新聞を読んだりしないとか。。。。でも一番面白かったのは、人間力英語術の実践法、の「正攻法」のほうではなく「裏技」である。引用する。

会話はキャッチボールなので聞くのと同じ以上に話さないとコミュニケーションの力はつきません。では、どうすればよいか‥‥。それは自分よりも英語の下手な研究者をラボ内外で見つけて、その人にとにかく英語で話しまくることです(相手は日本語を話せない人の方がよい)。酷いと思うかもしれませんが、相手にもマイナスにはなっていません。

そりゃ酷い。私は爆笑し、また蛍光ペンで線を引いてしまった。さっそく次の日ラボに行き、来て1年経つフランス人を捕まえた。
私「あのね、尊敬している人がいてね、その人が本を書いたんだよ。そこにね、英語をうまくなるには、自分より英語が下手な人に英語をしゃべりまくれって書いてあったの。なんせ私たちがネイティブスピーカーにしゃべっても、ネイティブスピーカーがずーっとしゃべるだけだし。あの、やたらとしゃべりまくる医学生みたいに。」
笑いながらフランス人「それ、正しいかも!」
私「ということで、私あなたに英語しゃべりまくるからねー」
フランス人「いいよ」
うちのラボの場合は皆で一緒にランチを食べて、その時に話をする。あと、夕方5時頃に私がチョコレートタイムを勝手に作り出し、おしゃべりしている。それでもネイティブ同士のおしゃべりは耳に入ってこない。

私の意見では、英語をしゃべれるようになりたいならば、第1に日本人で第2に男性であることは変えようがないが、他のことなら変えることができる。
第3に30歳前に来る。
第4に立食パーティを極める。
私の場合はまず飲み物をもらって食事に直行し、お腹が空かない程度にさっさと食べてしまう。そのころになると偉い人の取り巻きが減るので、飲み物をさらにもらって、偉い人の所に行って話を聞いているか「あれはどうなんだ!」と質問をする。そのうちボスとか他のボスとかが紹介してくれる感じ。そうでなかったら自分で紹介もしてしまうが。多少酔っぱらってしまうことが大事。でも酔っぱらいすぎて暴言を吐いたりしないことも大事。
ちなみに、セミナーのスピーカーとの立食パーティとかは、あれはディナー前に行われるので、食べないでしゃべるというのも手だし、お腹が空いているのなら先に食べてきてしまうというのも手である。どうせものすごく美味しいものが出るわけではないし。
第5に家族なしで日本から来る。できるなら外人とルームシェアする。私はドイツでしていた。
第6に日本人のいる研究室は極力さける。私は研究室を選ぶときに、日本人のいないラボを探していた。
第7に週末は外人とつるむ。

一個でも満たしていると、だいぶ違うんではないかと思う。

だが、島岡さんが書いている人間力英語術のメインのメッセージを勝手に私が解釈したものはこうである。

すばらしい研究をしよう。そしたら多少英語はまずくっても皆我慢して聞いてくれる。

これが一番大事。(←一番大事なメッセージをブログの後半に持ってくるなって?)
相手が一目置くような人物にさっさとなっちゃえば、多少の英語のまずさだろうがなんだろうがプレゼンテーションを聞いてくれる。
私の英語がままならないときに、ボスにデータの説明や自分の意見を述べるときは、紙に絵を描いていた。今は私の隣にホワイトボードがあるので、それに書きながら説明している。ホワイトボードはお役立ちで、学生が「新しいアイデアがあるんだけれど」と来るときも「はい、書いて書いて」とばかりにマーカーを渡して書かせて、それを見ながらディスカッションをしたりする。

さて本には、洋書を読破することも秘訣として載っている。ドイツに行ってから私は英語の本を頑張って読んでいる。日本語の本はコストパフォーマンスが悪いからである。そしてつい最近気づいた。英語の読むスピードが早くなったのである! すばらし。
今回のボルドー+マドリード旅行、約10日間で読んだ本。
A year in the merde イギリス人がパリで働くことになったフィクション。Merdeはフランス語でShitの意味である。行ったことがある人はお気づきかと思うが、かの花の都パリは犬のフンだらけである。 読破。
The Millionaire next door 隣の億万長者の英語版 こっちは半分読んだ。内容は日本語版を読んで知っているので、読むのは楽。

さて、読むのもいい加減な英語を話すのも大丈夫といえば大丈夫なのであるが、最近の私の課題は英語を書くことである。島岡さんがハーバードでも通用した 研究者のための英語コミュニケーション」を羊土社のウェブサイトで連載中である。興味津々だが、なぜウェブサイトはRSSフィードで読めないんだろう。島岡さんのブログで紹介されてから読んでいる。

今日の教訓 それでも英語は日々修行である。

過去のブログ
旅行 後半 スペイン・マドリード編
旅行 前半 フランス・ボルドー編
やるべきことが見えてくる 研究者の仕事術 (島岡さんの本をプロ研で共同購入したこと)
島岡さんが本を出した
となりの億万長者
英語と日本語とAudio Book(オーディオブック)

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