行動しながら考えよう 感想文その1

この前「アカデミックで成功する人は文章書くのが好き」仮説を立てて島岡さんに連絡したら、本をまた出したという話の続き。(ちなみに島岡さんは三重大医学部の教授なので、日本語を使うのなら島岡先生というのが正しい。) その本が届いた。


【内容】行動しながら考えれば,あなたの研究生活を取り巻く「悩み」を解決できる.重苦しい悩みに足を絡め取られた状態で漫然と実験をするのはもうやめよう.あなた自身を取り戻し,あなたが一番するべき仕事に集中しよう. 

【目次】
序章 悩める若手研究者とその卵たち12のケース
1章 行動しながら考えようーーThinking While Acting
2章 ネガティブな感情を活用しよう
3章 研究者は営業職。視点を切り替えよう
4章 研究室での自分の立ち位置を分析してみよう
5章 情報化社会だからこそ「暗記力」を強みにしよう
6章 新しいことをはじめてみよう
7章 戦略的に楽観主義者になろう

序章がなんと本の4分の1もある。「最近島岡さんは研究者の悩み相談室も始めたのかいな?」と思いながら読んでいた。悩みの全部にQuick answerとAlternative answerがある。一般的にでてくる(誰でも考えつく)答えがQuick answerでちょっと別視点から見たのがalternative answerである。このalternative approachがこの本のキーワードで、全ての章に現れている。どうも島岡さんはalternative approachを考えるのが得意らしい。

結論は、皆いろいろなことで悩んでいるというか

島岡さんでさえ悩んでいた!

である。自分でもよくわからんが、ここで安堵する。「島岡さんも悩んでたんだー!」という感じである。成功している人はハタからみると順風満帆なのだが、実際はそうでないということである。「失敗なくして成功せずの意味は実はこんな感じ? CV of failures(失敗の履歴書)」で紹介したが、成功している人も失敗もいっぱいしている。(っていうか、よく失敗の数覚えてるよね。「2章 ネガティブな感情を活用しよう」かしら?) 

ちなみに私は海外留学したいという学生から相談を受けた時に、

あんまり考えすぎると留学できなくなりますよ。若くて無謀な時にやってしまうのが手です。日本はどうか知りませんが、アメリカはいつでもキャリアチェンジが可能です。アカデミックの途中でやめて企業に行ってしまう人もいれば、企業やめてアカデミックに戻ってくる人もいるし、R01(NIHの研究費)もって起業した人も知っています。こちら(ボストン)から見る限り日本の大企業に勤めたら安泰というわけでもなさそうですし、個人的には「どこ行っても苦労するんだから、エキサイティングな人生送ったほうが勝ち」だと思ってますが、いかがでしょう? 世界は広いですよ。

という、無責任な返答をした人である。あとでなんか言われるかも。絶対言われるよね(笑) はい、人生相談するなら島岡さんに相談したほうがいいでしょう。

そのついでに学生にはWorking Lifeをお勧めしておいた。Working LifeはScience Magazineの最後のページに載っている、私の大好きなコラムである。いろんなScientistsが人生について書くのである。

Working Lifeのアーカイブを発見したので、興味のあるかたはどうぞ。何がお勧めかというと同じScientistsといえ、人生にはdiversityと紆余曲折がいろいろあるのである。

A science career story(これが最初のストーリーで、Working Lifeはたぶんこの人の企画。当然のように紆余曲折から始まる)

Tell the negative committee to shut up

The 1-hour workday
(切り取ってオフィスに貼ってある)

Knocking on opportunity's door(学生に見せて、どこがいいかどこが悪いかの議論した)

Selling out science?

A retirement ‘hobby’

Brewing a career

などが今思いつくところ私のお気に入りである。これ、日本でもやって欲しいんだけれど、誰かやってくれないかな。

その2に続く。

今日の教訓 島岡さん、じゃなかった島岡先生でさえ悩んでた!

過去のブログ
失敗なくして成功せずの意味は実はこんな感じ? CV of failures(失敗の履歴書)
研究者のための思考法 10のヒント 感想文その2

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