陳腐なアイデアを頭から追い出す
日々の研究生活で、島岡先生のブログ「陳腐なアイデアを頭から追い出す」を思い出した。正確に言うとブログのタイトルは「アイデアはどこにあるか:Tim Hurson著 Think Better」なのだが、私の頭のなかでは「陳腐なアイデアを頭から追い出す」ブログなのである。
私の解釈では陳腐なアイデア、いわゆる誰でも思いつくアイデアだと他の人でもできるので、結局激しい競争に負けてしまう。だから誰も思いつかないアイデアを思いつくために頭を絞っているところである。いわば、
他の人ができることは、テコでもしない
ことを肝に銘じないといけないのである。世の中には私なんかよりも優秀だったりリソース(資金とか部下とか)がいっぱいある人がいるのである。その人達と対抗すると間違いなく負ける。なので、他の人が簡単に思いつくようなことは決して決してしてはいけないのである。と言っても忘れてえらい目にあったりもするが。
一番簡単なのは誰も予期しなかったような発見を実験中にしてそれを糧に研究を広げるである。私のブログで一番よく読まれている記事は2007年に書いたPI(Principal investigator)とポスドクの違い である。10年後PIもどきになったので改めて考えてみたりするが、誰もできることや他の人のやっていることを追っても絶対おいつけないし、大御所に負けるのである。従ってPIはたえず新しいネタがないか考えている。私もしょっちゅう考えている。
そして、あるテーマに対しても、複数の対応方法があると思っている。
昔受験勉強で小難しい数学の問題を解いている時のこと。受験数学の問題は結構よくできていて、誰も思いつくような泥臭い方法では試験時間内に問題が解けないようになっていた。答えを見ると、解答1は泥臭い時間のかかるが誰でも思いつくような方法、解答2は非常にエレガントな方法だったりする。なので、高校生のころは数学の問題かかえながら2つ目、3つ目でエレガントに解く方法を一生懸命考えていた。(←私って実はヒマだった?) 解けない時は諦めて泥くさい時間のかかる方法でウンウン言いながら解いてみたり。結局解けない問題もたくさんあったが。
この「2つ目3つ目のアイデアを考えていく」を使って研究上の問題を解決したことがある。2週間DNA sequencesとにらめっこしていたのである。解決法1はだれでも思いつく泥臭い方法で「Whole genome sequences」だったが、時間もお金もかかる(そのころはお金がかかった)ので、却下。解決法2、解決法3、解決法4まで考えだし、結局4番目を使って1ヶ月後には問題を解決した。去年私の論文を引用した論文が発表されたが、なんとWhole genome sequencesでは問題は解決しなかったようである。
あららー。
陳腐なアイデアを頭から追い出す、私のイメージとしては映画のInceptionみたいに奥深く潜っている感じである。
さて、この前のNIHの予算削減提案の続き。
Trump wants to add wall spending to stopgap budget bill, potentially forcing shutdown showdown
「NIHの予算削ったお金でメキシコとの境界の壁作る」の提案をトランプ大統領がしたらしい。まったく気の滅入る話である。だが気がめいると話がみみっちくなる。そこで(あえて?)他のポスドクや学生と一緒にランチのときに途方もない議論をしてみた。
1. 次のScienceのホットトピックは何か。Scienceはファッションである。Big Shots(大御所)を追っていたらポスドクとYoung investigatorはいつまでたってもトップに立てない。
2. 1 billion(約100億円、じゃなかった約1000億円)あったら何に使うか。
クレイジーなアイデアであればあるほど良い。ポスドクの一人はいたく気に入ったそうで、定期的に議論したいそうである(笑) 「いいアイデアが浮かんだら、川向こうに行こうぜー」と言っていた。(「川向こう」はKendal Square近辺のスタートアップと投資家と製薬会社がひしめき合っているところ)
今日の教訓 Inceptionみたいに奥深く潜る。
過去のブログ
・アメリカの国防費予算増加とNIH予算削減
・PI(Principal investigator)とポスドクの違い
・ボストン周辺にバイオ系の会社集積中
私の解釈では陳腐なアイデア、いわゆる誰でも思いつくアイデアだと他の人でもできるので、結局激しい競争に負けてしまう。だから誰も思いつかないアイデアを思いつくために頭を絞っているところである。いわば、
他の人ができることは、テコでもしない
ことを肝に銘じないといけないのである。世の中には私なんかよりも優秀だったりリソース(資金とか部下とか)がいっぱいある人がいるのである。その人達と対抗すると間違いなく負ける。なので、他の人が簡単に思いつくようなことは決して決してしてはいけないのである。と言っても忘れてえらい目にあったりもするが。
一番簡単なのは誰も予期しなかったような発見を実験中にしてそれを糧に研究を広げるである。私のブログで一番よく読まれている記事は2007年に書いたPI(Principal investigator)とポスドクの違い である。10年後PIもどきになったので改めて考えてみたりするが、誰もできることや他の人のやっていることを追っても絶対おいつけないし、大御所に負けるのである。従ってPIはたえず新しいネタがないか考えている。私もしょっちゅう考えている。
そして、あるテーマに対しても、複数の対応方法があると思っている。
昔受験勉強で小難しい数学の問題を解いている時のこと。受験数学の問題は結構よくできていて、誰も思いつくような泥臭い方法では試験時間内に問題が解けないようになっていた。答えを見ると、解答1は泥臭い時間のかかるが誰でも思いつくような方法、解答2は非常にエレガントな方法だったりする。なので、高校生のころは数学の問題かかえながら2つ目、3つ目でエレガントに解く方法を一生懸命考えていた。(←私って実はヒマだった?) 解けない時は諦めて泥くさい時間のかかる方法でウンウン言いながら解いてみたり。結局解けない問題もたくさんあったが。
この「2つ目3つ目のアイデアを考えていく」を使って研究上の問題を解決したことがある。2週間DNA sequencesとにらめっこしていたのである。解決法1はだれでも思いつく泥臭い方法で「Whole genome sequences」だったが、時間もお金もかかる(そのころはお金がかかった)ので、却下。解決法2、解決法3、解決法4まで考えだし、結局4番目を使って1ヶ月後には問題を解決した。去年私の論文を引用した論文が発表されたが、なんとWhole genome sequencesでは問題は解決しなかったようである。
あららー。
陳腐なアイデアを頭から追い出す、私のイメージとしては映画のInceptionみたいに奥深く潜っている感じである。
さて、この前のNIHの予算削減提案の続き。
Trump wants to add wall spending to stopgap budget bill, potentially forcing shutdown showdown
「NIHの予算削ったお金でメキシコとの境界の壁作る」の提案をトランプ大統領がしたらしい。まったく気の滅入る話である。だが気がめいると話がみみっちくなる。そこで(あえて?)他のポスドクや学生と一緒にランチのときに途方もない議論をしてみた。
1. 次のScienceのホットトピックは何か。Scienceはファッションである。Big Shots(大御所)を追っていたらポスドクとYoung investigatorはいつまでたってもトップに立てない。
2. 1 billion(約100億円、じゃなかった約1000億円)あったら何に使うか。
クレイジーなアイデアであればあるほど良い。ポスドクの一人はいたく気に入ったそうで、定期的に議論したいそうである(笑) 「いいアイデアが浮かんだら、川向こうに行こうぜー」と言っていた。(「川向こう」はKendal Square近辺のスタートアップと投資家と製薬会社がひしめき合っているところ)
今日の教訓 Inceptionみたいに奥深く潜る。
過去のブログ
・アメリカの国防費予算増加とNIH予算削減
・PI(Principal investigator)とポスドクの違い
・ボストン周辺にバイオ系の会社集積中
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